小さい頃からものづくりが大好きだったこともあり、「人々の生活を快適にできるようなものづくりがしたい」との思いが根底にありました。田舎育ちで周囲にはきれいな公共トイレがあまりなく、自分の手で公共トイレをきれいにしていきたいと思ったことがこの業界に興味を持ったきっかけです。そんな中、TOTOがユニバーサルデザインのものづくりにこだわっている会社だと知り、ここだったら使う人に寄り添った開発ができるのではと思ったことが一番の理由です。
現在は入社5年目で、大便器の設計や開発に携わっています。主な業務内容は、大便器の陶器部分の設計とその内部に入る部品の設計です。新しい製品を作るに当たって、どうすれば性能が向上するのかを考える時は悩みますし、解析技術を使って想定していたことが実際の陶器ではうまくいかなかったりする時は難しさを感じます。しかし実現したいことのアイデアを出し、苦労しながらも形になった時の喜びは大きく、開発者としてのやりがいを感じます。
初めてテーマリーダーを務めた洗面器「LS351」の開発が思い出深いです。ボウルの前面を下げ、下の空間を大きく取ることで車椅子の方を含め、誰もが使いやすいようにと考えた製品です。展示会の時に車椅子の女性に使っていただいたところ、「使いやすい」と喜んでくださったのがとてもうれしかったです。「誰もが安心して使えるものを開発したい」という思いが形になったという意味でも印象深い仕事です。
私が所属している衛陶開発第一部は3グループあり、約80人の規模なんですが、グループの垣根を越えて気軽に相談や質問ができるとてもいい環境です。部署全体でコミュニケーションを大切にする雰囲気があり、仕事のしやすさを感じています。TOTOは商品開発において女性ならではの視点も大事にしていて、家庭と仕事を両立しながら活躍している女性の先輩も多くいるので、私自身のライフプランを考えるうえでも目標としています。
ものづくりをする環境の良さは大きな魅力です。テーマリーダーを務めた洗面器の開発でも同じ部署の方はもちろん、他部署の先輩方にもたくさん支えてもらい、周囲のサポートの温かさに感謝しました。今後は私がしてもらったように、これから入社する後輩にも、この環境でものづくりができてよかったと思ってもらえるようにサポートしていきたいと思っています。また、開発者としてはもっと多くの商品に携って視野を広げ、「本当の意味で誰もが使いやすい商品とは何か」ということを考えながら、新しいことに挑戦し続けたいと思っています。
将来何をしたいか決めることは難しいことですよね。私自身もその時興味があることを選んだところで、この気持ちはずっと続いていくのだろうかと不安に感じることもありました。でも、会社に入ると自分が考えていた以上に大きな世界があり、さらに興味が広がることを感じました。今、自分が大事にしたいことがあるのなら、先のことはあまり不安に思わず、挑戦してみて欲しいです。
※掲載情報は取材当時(2024年7月時点)のものです